まだ中学生。

中学生のまま大人になりました。ご迷惑おかけしてます。

(親が)iPhone紛失したら真っ先にやるべきこと

「獲物を追っている時だけ、生きた心地がする」(tochiru語録より)

デバイスの「情報」ウィンドウの下中央にある「紛失モード」ボタン。

 

平和な日常は一瞬にして打ち砕かれる。

 

その日、僕は休みで、鼻歌まじりにバイクの洗車をしていた。なんだかさっきからやけにポケットにいれたスマホがしきりにバイブして尻をくすぐってくる。

 

1時間以上の洗車を終えて、昼飯は何にしようか思案しながらスマホを確認すると。

 

SMSのやり取りなんてしない親戚のおじさんから唐突にSMSがきたので、一瞬脳がバグったが、要約すると、オカンは久々に会う親戚のおじさんと駅前ベンチでおしゃべりに夢中になるあまり、家の鍵、スマホ、スイカといった財布以外のライフラインを根こそぎ置き引きをくらい、SOSを出そうにも自分のスマホがなくて詰んだので、親戚のおじさんのスマホを借りてショートメールを打ってきたらしい。

 

休みの日にこんなにテンションをバッキバキに折ってくるSMSがあっても良いのだろうか。

 

おかんの家のスペアキーは僕が持っているからいいとして、問題はスマホだ。確か2年ほど前にiPhone6から強制的にiPhone XR に機種変更させた事を思い出しつつ、ソッコーでiPhoneを探すからオカンのAppleIDとパスワードを入力して、現在地を検索する。

 

すると駅の西口で落としたハズのiPhone(以下オカンフォン)がなぜか東口のショッピングセンターに移動している。

なぜか駅の反対側にいるオカンフォン

 

GPSの誤差!?いや、その割には大胆に動いている。しばらく30分おきに位置情報を検索するが、動かず。もしやショッピングセンターの警備室に届けられているかも!?と思い、霹靂一閃おかん捜査員を突入させるも、空振り。

 

とりあえずおかんに最寄りの交番へiPhoneの遺失物を出させて、夕方おかんに家のスペアキーを届けに行った。併せてスマホケースに入っていたSuicaの残高を調べてもらうと、残額がゼロになっている。

 

ここで僕の頭の中の捜査一課長こと内藤剛が1つの仮定を導き出す。

 

「このヤマ…盗みだな」

 

そう、平和な国ニポンでの貴重品類の返還率は、OECDでもダントツの60%up。そんな国で善良なる市民がキングオブ貴重品のスマートフォンを拾った日にはソッコーで最寄りの交番に届けられるケースがほとんど。

 

それが届けられていないというのは、つまりこれはそういう事なのである。

 

余談だが、昔とあるタクシーに乗った際、運ちゃんの隣の運賃受けの皿にスマホが乗っていて、ずーっとブーブー鳴っていた事があった。あまりにうるさいので、運転手のおばちゃんに「何か鳴ってますよ?」と告げると、「そうなのよー、さっき降りたお客さんの物だと思うんだけど、凄い勢いで鳴っててね〜、なんだか怖いわよねぇ。営業所に戻ってから警察に渡そうと思ってるの」と言っていた。いや、すぐ警察に届けたってくれ。百歩譲って届ける時間がないならこの猛烈非通知コールに出たってくれ。結局その後も鳴り続ける非通知コールには全く関係のない私が出ることになり事なきを得た(自己紹介と状況説明がえらい面倒くさかった)。

 

そんな淡い記憶が頭の片隅にあったがため、今回もホシの動きを見逃して初動捜査が遅れてしまった。

 

ここから私の「ドラマ捜査一課長」で培った犯人を追い詰めるハンターとしての能力が覚醒する。

 

 「必ずホシを挙げる!」

 

内藤剛の号令に、心の中で敬礼した。

 

私の中の剛がささやいてくる、「ホシはiPhoneを持ち去り、自分の物にしようとしている。それはすなわち他人のiPhoneを初期化したとしても、持ち主のApple IDとパスワードがわからなければ、アクティベーションすらできない事がわかっていない証左だよ。」

 

夕方になってもオカンフォンが昼間のショッピングセンターから1ミリも動いていないのを確認した上で、iPhoneの紛失モードの1つであるメッセージ機能(紛失したスマホの画面にメッセージを表示させる機能)を使って犯人にメッセージを送る。

 

この紛失モード内のメッセージ機能、本来というか拾った相手がまともならば

「このiPnone探してます。お願い!ここにTELして♪→ 080-××××-〇〇〇〇」

とメッセージを打てば結構な確率でコールバックが期待できるのだが、何せ今回はそんな常識の通じる相手ではないので、以下のような厳つい文章とする。

 

  • ○○県警○○警察署サイバーセキュリティ課
  • 追跡捜査中
  • GPS位置履歴
  • Log:12:00 北緯35.1344123°/東経138.1939944°
  • Log:13:00 北緯35.1356335°/東経138.2033423°
  • Log:14:00 北緯35.1353445°/東経138.2033234°

 

○○警察には最寄りの大きな警察署名を入れて、グーグルマップからオカンフォンの大体の緯度経度を調べてそれらしい数値を入力する。

 

待つこと30分。再びオカンフォンの位置を検索すると、ついにホシが動いた。

 

どこへ行こうというのかね!?



動くの早っ!と思いつつ、僕はすでに剛の指示のもと最寄りの交番の近くのベンチに張り込んでいた。

 

その間もオカンフォンは、意志を持ったかのような移動を続ける。

 

駅をまたいでテレポートしてくるオカンフォン



高鳴る心臓、僕は手の震えが止まらなかったが、その間にもオカンフォンはどんどんこちらに近づいてくる。スイカチャージを使い切り、iPhoneを盗もうとしていた(かもしれない)人物とは。

 

くるぞっ!

 

「かくほっ!」

 

僕の中の捜査一課長が叫んだ。

 

が、なにもできるはずもなく、僕はただ交番の近くのベンチに座って少し前に交番に入っていった人物を横目で追っていた。

 

その人はごく普通の20代女性だった。

 

拍子抜けするほどフツーで今風の女性。

 

交番の中の警官と女性がやり取りをする中で、恥ずかしいほどまっ黄色なオカンフォンことiPhone!XRが一瞬見えた。

 

「とつにゅうっ!」

 

気が付くと僕は交番の中に入っていた。何らやましいことはないのに、気づいたら僕は半べそだった。今まで2回くらいしか入ったことのない交番の雰囲気とこの特殊な状況にやられて50歳過ぎにもかかわらず、公の場で半べそをかいた。たぶんギネス記録だ。

僕は泣きそうな顔で机の上に置かれているiPhoneが母親の物である事を告げる。すると今度は女性の顔が明らかに強張った。僕、警官、女性、ザ・ワールド、3人の時間がしばし止まる。

 

そして時は動き出す・・・

 

僕と同年代と思しき警察官は「あー、さっき遺失物届出てたスマホってこれだったんだ!」と場を仕切りなおしたが、半べその50代は、そのiPhoneを置き忘れた場所から不自然な移動を繰り返していたこと、一緒に入れいたSuicaカードの残高が直後に全て使い切られていた事を警官伝える。

 

再び沈黙30秒。女性が働いているショッピングモールで拾ったとか何やらもごもごと言っていたが、よく覚えていない。警察官が移動履歴を見せろと言ってくるのでスクリーンショットを見せたが、僕がなぜ他人のiPhoneの場所を追えたのか意味がわからないらしく、話が進まない。

 

結局話のわかる若い別の警察官まで応援で動員してすったもんだを1時間以上した挙句、オカンフォンに関しては、移動履歴だけでは窃盗とは言い切れないという結論になった。ただしSuicaの件に関しては、件の女性が「Suicaは知らない」の一点張りで、もし本当ならば、占有離脱物横領(!?)が成立する為、駅の防犯カメラを含めて後日捜査という事になった。

 

女性は終始俯いてるし、僕は半べそだし、傍から見た僕は、完全に痴漢の冤罪を必死に弁明するオッサン。やはりオッサンはオッサンというだけでギルティなのだろうか。

 

結局すべての事が済んだのは20時近く、気が付けば頭の中の内藤剛はすでに退勤していた。昼前から何も食べていない事に気づいたので、オカン捜査員を呼び出して、説教がてらサイゼでフルコースを奢らせた。

 

みんなも親がiPhone使っていたら、万が一の為にApple IDとパスワードくらいは聞き出しておこうね!シマジローとお約束だよ!(なお60代以上のiPhoneユーザーのApple ID認識率は10%以下である)

"設定>一番上のAppleID>探す" から上記3つがONになっているかも要確認

 

まとめ 

  1. 事前に親のApple IDとパスワードを把握しておく。←重要!
  2. 事前に親のiPhoneで「iPhoneを探す」がオンになっているかを確認する。
  3. iPhoneを紛失したら、まずは自分のスマホからiPhoneを探すに入り、親のApple IDとパスワードを入力して「紛失モード」をオンにする。
  4. 親のiPhoneに2段階認証(2ファクタ認証)が設定されていて、詰んでしまった時はこちらを参照されたし。
  5. iPhoneを探す」のページから紛失したデバイスの動静を監視
  6. 紛失したデバイスが定点(住宅街や特定の建物)で動かなくなったら、「iPhoneを探す」内の紛失モードから、紛失したデバイスに向けてそれらしい警告メッセージを送信。
  7. 最寄りの交番前で待機。

 

平和な国ニポンでは9割方のスマートホンが警察署に届けられるとは思うが、今回のようなレアケースもあるということで、ご参考までによろしくどーぞ。