まだ中学生。

中学生のまま大人になりました。ご迷惑おかけしてます。

都内最強鮮魚店②「角上」

「買う心、同じ心で売る心」(角上魚類社訓)

角上(正式名称は角上魚類)は、新潟県寺泊港に本拠地を構える新潟地盤の鮮魚小売り店。もともとは新潟で業者を相手に卸売をしていたが、関越自動車道の開通を契機に関東へ小売店として進出、現在関東県に20店舗を展開する人気鮮魚店であり、水族館。

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「みんな魚を食べなくなったんじゃない、新鮮な魚を食べてないだけ。」(tochiru語録より)

食事の西洋化に伴い、生鮮魚介類の消費量は1990年頃から面白いほどの右肩下がりだ。それもそのはず、

  1. 牛・豚・鳥といった食用肉は、販売段階で骨が綺麗に下処理されていて調理及び食べる手間はさほどかからないが、魚はとにかく骨が多くて食べるまでのハードルが相対的に高い。
  2. 食用肉は生産計画がしっかり決まっており、安定供給ができるが、魚介類(養殖物は除く)は漁獲計画こそあれ、海が荒れれば全く採れず、サンマの様に黒潮の流れが少しでもブレたら漁獲高激減のカイジのような世界観。僕は桃鉄でもサンマ漁船団は絶対に買わない。
  3. 食用肉に比べて圧倒的に鮮度落ちが早く、かつ生食の割合が高いが為に鮮度管理コストかかりまくり。また同じ魚でも「旬」といった要素で美味い不味いがブレブレな上に、パッと見の外見からはなかなか鮮度を見分けづらい。僕はアメ横で売られているマグロは絶対に買わない。
  4. 近年の水温上昇によるアニサキスさんの跋扈。

 

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水産庁「水産物消費の状況」より抜粋

肉に比べてのビハインドは枚挙にいとまがなく、ただでさえ第一次産業という大した技術革新も起こらず、需要も大して伸びない業界内で、そのシェアが食肉に取られて縮小していくというエクストラハードモード。オセロで言ったら、もう四隅がっつりいかれてる。

物流の進化とか、津本の血抜きとか、養殖技術の進化とか、アニサキス症には正露丸が効く、とかは確かに革命的で僕的にはうれしいが、魚から離れていく消費者を繋ぎ止めるには心細い。

 

「鮮度よし、値段よし、配列よし、態度よし」の狂気

そんな瀕死の鮮魚業界に「鮮度良し・値段安い・配列きれい・態度フレンドリー」という既存の魚屋には同時実現不可能だった4方よろしで正面から殴ってくる魚屋、それが角上魚類である。なにしろ僕は今住んでいる家を決める際、角上が徒歩圏内にあるという理由で決めた。店内で流れる「獲れたて鮮魚伝説」という「お魚天国」の二番煎じ曲がパワープレイされているのが耳に痛いが、毎週暇さえあれば必ず立ち寄る。まさに生活の一部。

①なぜ鮮度が良いのか?

角上の目玉商品である新潟近辺で水揚げされる地魚は、仲卸業者という仲介を通さずに関越自動車道から最短でその日の内に関東の各店舗に流通させている為、どこよりも高鮮度。早朝新潟で水揚げされた魚は、原則その日のうちに関東の各店舗に並ぶ。

 

②なぜ値段が良いのか?

御徒町の吉池なんかはそれこそプロも買い出しに来るような店なので、とにかく品揃えこそ正義!という「品揃え原理主義」なのだが、角上は「価格原理主義」、つまりどんなに大衆魚であっても不漁で値段が高い魚は置かない。その代わり豊漁で値段が安い魚はどっさり確保して安価で売るという戦略をとっている。

そしてそれらの魚を対面コーナーで丸のまま売りさばき、売れ残りそうだと見るや否や、ソッコーでフライや寿司や西京漬けといった2次製品に再加工し、基本その日の内に売り切る。このロスの少ない販売サイクルにより角上の廃棄率は何と0.05%!(角上談、一般的な鮮魚店の平均は約5%)を誇る。

このコストダウンにより、他店を圧倒する価格を実現している(※販売戦略は小平店等の郊外スタンドアロン型店舗と都内のスーパー居候型店舗とで微妙にテイストが変わる)。

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吉池のように海原雄山が好みそうな究極の魚は置いていないが、その時々で最もお買い得な魚を中心にしたラインナップ、まさに庶民の見方である。かくいう僕も職場が吉池の近くだから毎日覗きはするものの、実際の買い物は角上でする事が多い。

 

➂なぜ配列が良いのか?

角上の特徴は何といっても丸の魚が並ぶ対面コーナー。発泡スチロールに氷漬けにしたままドサッと置くようなガサツな事はせず、精肉コーナーよろしく見やすいショーケースに綺麗に整列して並べられている。この対面販売コーナーは当然子供にも人気があり、週末ともなると、とんでもない混みっぷりである。

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吉池と互角の美しい陳列

そしてこれも吉池との比較になっていまうのだが、角上の対面販売コーナーは自分で寄れる(選べる)のである。基本鮮魚はデリケートな商品である為、客が数ある魚の中から触って選ぶのはNGだが、角上は寄り用の使い捨て手袋を用意して「さぁ寄って下さい」と言わんばかりの神対応。

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こんなん置いてる魚屋見たことない

吉池の対面コーナーで発泡スチロールに入った魚に豪快に素手を突っ込んで寄っていく飲食業のおっちゃんにおびえている僕も、角上では堂々と何十匹とあるイワシの中からより肥えて美味そうな一匹を選ぶ。

それ以外も切り身パックコーナー、寿司コーナー、塩干コーナーといったカテゴリに分けられた陳列はさすがである。

 

④なぜ態度が良いのか?

対面コーナーで売られている魚はどれも魅力的だが、中には八角等自宅で捌くのを躊躇してしまう魚も売られている。しかしどうぞご安心を、角上の対面コーナーで売られている魚は、全て無料で捌いてもらえる。どうやって食べれば良いかわからない時も店員さんに聞けば快く教えてくれる。

またまた吉池と角上の比較だが、同じアジを「刺身用」と言って捌いてもらった場合、前者は3枚卸までだが、後者は3枚卸にした上で中骨も除去して皮まで剥いてくれる。正直このサービスが一番のキラーサービスで、吉池は単価の安い魚は「そのままでのお渡しになります」とか「ワタヌキまで」といった制限があるが、角上はたとえ1匹60円のイワシであっても、刺身ですぐに食べられる状態にまで加工してくれる。

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丸の魚は半身から腹骨と中骨を取ってくれるので、あとは切り付けるだけ。

角上はここに相当なコストを払っていて、中で捌く社員達は、その仕事の速さから相当な手練れ感が漂う。なんでも年に1回必ず包丁技能の研修があるらしい。

対面コーナーで下処理を依頼すると、番号札が渡されるので、あとは店内を散策しながら待つだけ。流石に週末には10以上待つ事もあるが、まことによくできたまさに「買う人の心をもって売る心」のシステムである。

 

角上では絶対コレ買おう

①何はともあれ、まずは地物シールを探そう!

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これは鉄板中の鉄板。角上を世に知らしめた新潟方面からの直送鮮魚はまずハズレない。具体的には甘海老、夏季、ブリ、アンコウ、助宗タラ、サワラ等。これらの商品はパック販売の場合必ず「地物シール」が貼られているので、それを目印に購入されたし(対面コーナーは産地と見た目で見分けるしかないが)。

なお角上の地魚の仕入れは、新潟の底引き網漁が禁漁の為、7月~8月には入荷がほぼなくなるので注意。

 

また、角上の公式アプリをインスコしておけば、毎日各店舗お勧めの魚をプッシュ通知してくれるので便利。聞いてもいないのに、新潟地魚直送便が店舗に届く時間帯まで教えてくれたりするので、うまくいけばその日の朝新潟で揚がった地魚を夕飯に、なんて芸当も可能。

[公式]角上アプリ

[公式]角上アプリ

  • PCPhase Inc.
  • ライフスタイル
  • 無料

apps.apple.com

 

②自家製西京漬け各種

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個人的に好きなのが、自家製西京漬け。ギンダラ、サケ、サバ、サワラといった定番魚の他にもカラスガレイやキンキといった珍しいものまで揃っている。中でも我が家のお気に入りはカラスガレイ。近年漁獲量減少に伴い値段の挙がっているギンダラに負けない脂乗りで子供もよく食べる。塩しゃけでマンネリ気味の朝食が一気に華やぐ事間違いなし。

 

➂とにかくシャリがデカい!寿司

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正直ネタは汎用的な魚が多く、特筆すべき点はあまりないが、1人前~5人前まで多彩な商品が用意されており、手軽に回転寿司よりもクオリティの高い寿司を食い散らかしたい時に便利。そして何よりシャリがデカい。やたらと中トロやエビばかり食いたがる子供には、とりあえず角上の寿司を与えておけばOK。

 

買うならば毎月第3水曜日の「角上の日」がお得!

毎月第3水曜日は、対面販売を含む全商品10%割引。我が家はこの日に西京漬けを大量に仕入れて真空パック冷凍保存というのが定番である。