結局一般家庭にはどんな包丁がいいのか!?
「包丁にこだわっていいのは、俺と土井善晴だけ」(tochiru語録より)
コロナ禍で外食を控える人が増え、新規に自炊をする人が増えているそうである。かくいう私も在宅勤務という名の暇な時間を持て余し、さて料理でもしてみるかな?と浮ついた心を持った中のひとりだ。
たいてい私のようにポッと出で「料理でもしようかな」とか考えちゃう人は、悪い意味で凝り性である。
やたらと本格レシピを参照し、やたらとスパイスを揃えて、やたらと長時間食材を煮込みたがり、塩は岩塩が良いと信じて疑わない。そのくせ段取りが悪いので、やっている内に自分でイライラして酒を飲みだし、挙句の果てに洗い物もしねぇという始末(=私)。
当然出来上がる料理は「高コスト&まずくもないがうまくもない」という、しょーもなレベル。家族のテンションは劇的に落ちていく。
そういう男が2020年は日本全国に100万人位発生しているらしいのだが、中でも最高に厄介な奴が流れ着くのが「包丁」である。
いや、そうじゃない。違うんだ。お前の料理が上手くないのは道具のせいじゃない。料理の基本がなってないだけなんや(=私)
男は黙ってステンレス製包丁とセラミック砥石でも買っとけゴルァ
ご存じのように包丁の世界というのは完全な沼で、いちど調べ出したらキリがない。材質・錬成法・形状。
もしあなたが「青紙スーパー」とかいう材質に興味を持っていて、この先料理業界に行こうとか思っていないのなら、間違いなく考え直した方がいい。それはドラクエでいうなれば、皮の鎧でロトの剣を持ってる異常ステータス剣士だ。
やはり一般家庭では、ステンレス製の包丁一択である。青紙スーパーとか白紙スーパーといった鋼(はがね)はとにかく錆びやすいが、ステンレスはほぼ錆びない。
「いやしかし、ステンレスは鉄より切れ味が悪いでしょ」とか言っているのは、たいてい自分で包丁を研がない人である。昔は質の悪いステンレス鋼が使用されていた為、切れないステンレス包丁があったのも事実だが、近年のステンレス材の技術革新により、もはや鋼とステンレスの切れ味の違いは、土井善晴先生や樋口直哉先生くらいしかわからない程に微妙な差でしかない。おまけにMISONOとかハイブランドのステンレス包丁も100均のステンレス包丁もしっかり研いでやれば、正直切れ味なんて一般人には全くわかりゃしない(ただし切れ味の持続性は前者の方が優れている)。
だがしかし、ステンレス包丁の研ぎにくさよ...
最近の包丁系記事を見ると、そのクリーンな見た目と切れ味の良さからすっかり市民権を得たかに思えるステンレス包丁だが、実は弱点もある。それは「研ぎにくさ」だ。
ステンレス包丁を買った当初は、当然研ぎ澄まされた状態なのでスパスパ切れるものの1 ヶ月程度であっという間に切れなくなってしまったという話をよく聞く。しかし、それで正常。どんなに良い包丁も必ず研ぎは必要になる。研ぎなくして切れる包丁なし。
問題は何で研ぐか。ステンレス包丁は鋼の包丁に比べて圧倒的に研ぎづらく、標準的なレンガ色の中砥石でも研ごうとすると、それこそ雨垂れ石を打つクラスの時間がかかってしまう。
なので、ステンレス包丁の相方となる砥石も一択なワケで、セラミック砥石を使用するのが正義。慣れてしまえば、5分程度で十分切れる包丁に戻るので、とても良き。セラミック砥石の中でもシャプトンの「刃の黒幕(1000番)」なんかはステンレス包丁ファンは全員持っていて当たり前。いまだにステンレス包丁のレビューで「ノーマル砥石で研ぐのが大変」という意見を散見するが、誰か彼らにセラミック砥石を教えたってくれ。研ぐ角度とか関係なしに5分で切れ味復活するから。
毎日使うレギュラー包丁は、できれば2-3週間に1回研ぎたいところだが、1カ月〜2ヶ月に1回でも研いでやれば、ステンレス包丁は万人にお勧めできる家庭包丁なのだ